奥歯を守る噛み合わせ、犬歯誘導のこと

382128こんにちは、ヴェリ歯科クリニック院長の田島です。

歯の噛み合わせの中で、とても重要な役割を持っている歯があります。

その歯とは、奥歯や前歯を守り、歯の中で一番太い根を持ち、神経も大きい犬歯です。

今回は噛み合わせの中でも重要な、噛んだ時にかかる力のストレスから歯を守る機能、そしてそれに伴う噛み合わせの種類についておはなしします。

噛んだ状態で下顎を左右どちらかにずらしてください。

上の歯と下の歯で噛んでみて上下がかみ合った状態で横にずらすとどこかの歯が当たりませんか?

また噛んでた状態の歯が離れてくるのを感じませんか?

この顎ずらしチェックで歯の防御機能があるかないかが分かります。

1. 犬歯(八重歯)があたって、それ以降の奥歯が離れていった方

犬歯がずっとあたり続け奥歯が離れていく。この方達は理想的で正しい咬合です。

犬歯が先に当たることで奥歯が離開して当たりません。

犬歯によってきちんと奥歯が守られている状態です。

2. 顎をずらした時に、横の歯全体が当たっている方

噛んだ状態で顎をずらして歯が色々な場所で当たっている方、特に奥歯の方でたくさん当たっている方、要注意です。

痛みが強くおきていなくても、奥歯に負担がかかっている恐れがあります。

ただし今現在歯の並び方などで前歯が突き出て奥歯のみで噛まれている方や、長年特にこれといって症状が出ていなければ直ちに治療をする必要はないでしょう。

犬歯誘導(犬歯の働き)

犬歯は歯を守ってくれます。

歯というのは基本的に力を受け止める時の方向により受け止められなかったり、歯にストレスがかかってきます。

キャッチボールしている時、ボールが飛んでくる方向にミットを開くように、歯も垂直的に向かう力には受け止める力が出ます。

しかし、横や斜めなどの側方からの力には受け止めきれずストレスがかかるのです。

側方からの力、これはいわゆる歯ぎしりのことです。夜寝ている間歯ぎしりによって奥歯に干渉(ストレス)が生まれてくることが危惧すべきことです。

この歯ぎしりによって奥歯は咬合性外傷と呼ばれる歯のねんざのような状態になったり、状況によっては歯が破折してしまい神経をとったり、最悪抜歯せざるをえなくなる場合もあります。

ここで活躍するのが犬歯の役目です。顎を横にスライドした時に上の犬歯と下の犬歯があたって各々の歯面がぶつかり合って奥歯自体を離開させています。

つまり犬歯同士が当たり合うことで奥歯同士に側方の干渉が生じずストレスがかかってこないというメカニズムなのです。

ちなみに犬歯に当たる力は奥歯に当たる力の8分の1ですのでさほど力のストレスはかからないことになります。

このメカニズムを犬歯誘導(犬歯ガイド)と呼んでいます。

そして奥歯同士があたらないことをディスクルージョンと呼びます。

シークエンシャルガイダンス(順次咬合誘導)

犬歯誘導は犬歯によって歯と歯がぶつかり合って奥歯を離開させることでしたが、こちらの噛み合わせ形式はやたら長い読み方ですね。

こちらの噛み合わせ方式は同じく犬歯と犬歯が最初にぶつかり、犬歯、犬歯の隣の歯(第1小臼歯)、その隣(第2小臼歯)、その隣(第1大臼歯)、と奥に行くにつれて歯の傾斜角度を段々と緩やかにしていきます。

ずっと犬歯ガイドを維持していただければ良いのですが、長い年月が経つことで犬歯にすり減りが生まれ犬歯としての役目がうまく果たせなくなります。

この時、次に歯と歯があたるのがその隣の歯である第一小臼歯となり、犬歯の代役をします。

第一小臼歯の次は第二小臼歯というようにダメになった場合、次に歯がガイドになって奥歯を守る噛み合わせ方式になります。

この方式はシークエンシャル咬合と呼ばれています。

グループファンクションオクルージョン

先ほどの②の顎をずらした時に、横の歯全体が当たっている方の場合をいいます。

つまり横の歯は犬歯、犬歯の隣の歯(第1小臼歯)、その隣(第2小臼歯)、その隣(第1大臼歯)、第2大臼歯になります。これらが全て干渉し歯をガイドしているのであればこの噛み合わせの様式をグループファンクション咬合と呼びます。

かつてこの噛み合わせが支持されていた時代があったのですが、今ではこの噛み合わせは良くないとされています。

この噛み合わせが良くないとされるようになった理由として、天然の歯列でこのような噛み合わせが非常に稀だということ、この噛み合わせを参考にして作った大多数の症例が失敗に終わったことが挙げられます。

やはり奥歯に横からの力がかかることは歯に何らかのストレスがかかっているのです。

まとめ

多くの方の噛み合わせを診るとき、その人がどのような噛み合わせであったか、そして治療によってどのような噛み合わせになるだろうかを診断するためにまず歯をずらしてみて犬歯ガイドが得られているのかをチェックします。

このとき奥歯のディスクルージョン(奥歯同士が離れていること)がとれているかをチェックします。

特に右にずらしたときの左側の奥歯の干渉やその逆などは噛み合わせ治療上あってはならないものなので調整をして干渉を取ることが必須になります。

全ての人の噛み合わせや、噛み方は同じではありません。

ご自分の噛み合わせが気になる方、ぜひ横にずらしてチェックしてみましょう。