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歯にひびが入ってしまったら?(治療編)

こんにちは、巣鴨ヴェリ歯科クリニック院長の田島です。

実際に歯にひびが入ってしまうと、自覚症状のない状態から、冷たいものがしみる、噛むと違和感がある、噛むと痛い、噛まなくても常に痛い状態までひびの程度により様々な症状があります。

場合によっては抜歯になってしまう事もあります。これはひび割れの状況によって変わってくるのです。

ひび割れの治療法

ひび割れが歯の表面のみでうっすらある時

ひび割れは歯の外壁であるエナメル質に限局していて、鏡にてうっすらと歯に線が見えることがあります。歯科医院では専用の光をあててひび割れの度合いを見たりレントゲンを撮ったり、器具で探りひびの段差をチェックします。

このような状態にあるとき基本的に痛みなどは出ない事が多く、積極的に削ったりするようなことはありません。

しかしこのひび割れに沿って虫歯ができやすくなるのも事実です。

歯科では入念にひび周りの虫歯がないか、噛み合わせが強く当たっていないかを診察します。

ひび割れが見た目でも確認でき、冷たいものにしみやすく、噛むと違和感がある時

ひび割れが内壁の象牙質まで達してる可能性が高くなり、高い確率でひび割れ部に虫歯が見られます。

レントゲン、場合によってCTによってひび割れの状態が分かります。

治療としてはひび割れの入り方と症状によって噛み合わせを調整するだけか、詰め物や被せ物でひび割れ部を補強する方法に分かれます。

予防としてマウスピースを作りこれ以上その歯に負担が加わらないよう留意します。

噛むと激痛が走り、冷たいもの暖かいものに反応してしまう時

ひび割れが歯の中心部にある神経まで達してしまったことを表します。この時外部に神経はむき出し状態となるので、空気や唾液やその他のいかなる刺激にも反応してしまいます。外に神経が出ていることを想像してください。

とても痛いんです!

またこの状態を放置していると神経の内部に細菌が入り歯髄炎と呼ばれる神経の炎症が起きている状態になり、ズキズキした痛みで夜も寝れないくらいの激痛になります。

治療としてはまず痛みをとるのが優先ですので速やかに神経を取って痛みを和らげます。

その後ひび割れの状態がさらに内部まで波及しているかを確認し、問題がなければ神経の治療の後に被せ物をつけて様子を診ます。

ひび割れが歯肉まで到達しているが歯茎から近い時

上の図のような状態で、指や舌で触るとひびの部分が触って分かります。

残念ですがひびが歯肉の下にある場合は基本的に治せません。

ひびを補修したとしてもその補修部が歯肉の下にあることで衛生的に悪くなり細菌の住処になってしまいます。補修部は最初のうちは症状がないかもしれませんが、その後歯肉が腫れたり、補修部の下に2次虫歯になったりしてしまいます。

しかしひび割れの位置が歯肉から近い場合にだけ治療法があります。

ひび割れの位置を移動させて歯肉より上へ移動させます。

1. クラウンレングスニング

ひび割れ部の歯肉やその周辺の骨を整形して、歯肉を便宜的に下げます。

これを行うことによってひびを歯肉より上へ移動させます。その後ひびの補修などを行い被せ物で対応します。

2. エクストルージョン

ひび割れ部を矯正治療によって治す方法です。

ひび割れした歯の両サイドなどに固定装置などを作り、釣竿のような仕組みでひび割れの歯を持ち上げる方法です。これによりクラウンレングスと同様にひびを歯肉より上へ移動させることができます。

このほか①②を併用する方法がありますが、あくまでひび割れの位置が歯肉から2〜3mm下が限界です。

歯を持ち上げすぎたり、骨を整形しすぎるとまた別の問題が出てきます。

※ ひび割れが神経のエリアを通過している場合はその他神経の治療が必須になります。

ひびが歯の根元まで達してる時

残念ですがこの状態で歯が確実に残せる方法は未だ確立されていません。

奥歯のような歯の根が多数ある歯でひびがちょうどその割れめを通過している場合などに限り、ひびに沿って歯を2分割したり、予後が悪そうな歯を抜歯して片方を残すような治療などがあります。

またひび割れ部を特殊セメントで塞ぎ様子を見る方法、一度抜歯してひびを特殊セメントで繋げてもう一度抜歯したところへ戻す歯の再殖法を行う場合もあります。

しかし長期的な歯への影響を考えるとまだ確実な治療法とは言い切れません。

まとめ

歯のひびは程度により治療法がこんなにもあるということを理解していただけましたでしょうか。

うっすら亀裂が走っていたとしても実はその亀裂が奥深くまでいっている可能性もありますし、その逆も然りです。

原因編でも述べたように、歯のひびは噛み合わせの慢性的な力のストレスによって発生しますので少しでも気になった場合は一度噛み合わせを診ていただくとよいでしょう。

そして歯ぎしりやくいしばりを自覚されている方はマウスピースをつけていただくことをお勧めします。

こまめに歯医者さんでチェックしてくださいね。