こんにちは、ヴェリ歯科クリニック院長の田島です。
『舌って普段どこかに置かなきゃ方がいけないの?』『舌なんてどこにあってもいいんじゃない。』
いえいえダメなのです。舌を普段置いている場所によって歯がデコボコになったり噛み合わせが悪くなってしまうのです。
舌はどこに置くのがいいでしょう?
- 下の歯の裏側の付け根(歯の立ち上がり)
- 下の歯の裏側の下の歯の先端の方
- 上の歯と下の歯の間
- 上の歯の裏側の上の歯の先端の方
- 上の歯の裏側の付け根(歯の立ち上がり)
- その他
さあ考えてみてください。何番でしょう。
正解は「 6. その他」です。
舌の置き場所「スポット」
舌を普段置く場所は(1)から(5)のように、歯に接するようなところに置いてはいけません。
上の歯の付け根からさらに奥に向かって舌で伝っていくとポコっと膨らんだ場所がありますよね?カーブの所です。その先が舌の置き場所なのです。
ここはスポットと呼ばれる場所です。
上の歯の裏側から少しある膨らみのことを切歯乳頭とよびます。
この切歯乳頭からは切歯菅という動脈や神経が出ているため少し膨らみがあるのです。
舌の置き場所はこの切歯乳頭を超えたところにあります。
切歯乳頭は人によって位置が異なったり膨らみがなかったり個人差がありますが共通して言えることは舌が歯に触れるような位置に置いておくことは良くないのです。
舌が歯に触れた状態にしておくと何がいけないのか?
常時、舌をずっと噛む癖が幼い頃からあったり、あっかんべーのように舌を出す癖がずっと続いていると上の歯と下の歯にスペースができて奥歯のみでしか噛まなくなる開咬と呼ばれる噛み合わせになります。
また下の歯の裏側に長時間舌を置いておく癖が続くことを低位舌と呼び、下の歯が前へ突出して受け口になります。
同様に上の歯の裏側に置いておくと上の歯が前へ突出して出っ歯になります。
このような癖がずっと続いてしまうと特に乳歯から永久歯に生え変わる時に歯並びが悪くなってしまいます。
また、矯正治療が終わって綺麗な歯並びになっても舌の癖が抜けないとまた元どおりになってしまうのです。
舌の置き場所はスポットに置く癖をつけましょう。
ではどのように癖付ければ良いのでしょう。何年も染み付いた癖を簡単に変えることはなかなか難しいですよね?そこで舌の位置を改善するためのトレーニング法をご紹介します。
時間がある時に練習してみましょう。
舌の置き場所トレーニング(ORAL MYOFUNCTIONAL THERAPY)
1. スポットポジション
スポットの位置を無意識に認識させるトレーニングです。
- 歯ブラシの柄などスティック状の物を用意します。
- 口を開け、スティックをスポットの位置に置きます。
- 5秒そのまま(強く押しすぎないように!)
- スティックを離し舌の先端を同じところにつけ5秒そのまま
- この動作を5回繰り返してください。
2. ポッピング
舌を上に上げる筋肉をつけるトレーニングです。
- 舌の表側をスポットにつけます。この時舌は巻き舌にして裏側をつけてはいけません。(ラリルレロの状態はダメです。)
- 舌全体を上あごにぴったりつけ舌の裏ヒダが伸びているのを意識します。
- この状態ができたらいきなり舌をはじいてください。
- 大きい『ポン』と音がなったら成功です。この動作を10回繰り返してください。
3. レロレロスポット
スポットの位置を無意識に覚えさせるトレーニングです。二人で行うトレーニングです。
- 舌を尖らせて前に突き出します。
- なるべく速く左右に振ります(レロレロ)
- パートナーは好きなタイミングで『スポット』と言ってください。
- パートナーの『スポット』のタイミングで左右に振っていた舌をスポットの位置につけてください。(なるべく速く)
- この動作を5〜10回繰り返してください。
4. スラープアンドスワロー
正しい嚥下の仕方を覚えるトレーニングです。(間違った嚥下は舌を出してしまいます)
- 舌先をスポットにつけ舌全体を上あごにつけます。
- ストローを2本用意して左右からそれぞれ2本のストローをくわえます。(犬歯の奥側がベスト!)
- 口角のあたりから水を含みます。(水を入れるのが難しい時はスプレーかスポイトなどを使って入れます。)
- 舌先がスポットの位置にあるのを意識しながら少しずつ水を飲み込みます。(噛んだままの状態で!)
- この動作を左右5回ずつ繰り返します。
5. ポスチャー
舌の筋肉アップです。
- (4)のスラープアンドスワローが終わりましたらそのまま舌を上あごにつけてください。
- 口唇を閉じストローをくわえたまま10分間維持してください。
- 10分経ったら終了です。
以上になります。舌の置き場所トレーニングで急に舌の位置が変わることはありませんがまずは気長に自分ができる範囲でやってみてください。