こんにちは、巣鴨ヴェリ歯科クリニックの田島です。
歯が抜けた後に歯をもう一度作るインプラント治療。
インプラントが世に出回るようになって20年ほど。
多くの歯科医院でインプラント治療が受けれる世の中になりましたね。
しかし、インプラントって本当はどんなものかご存知でしたか?
インプラントはチタンという金属を骨に埋めると、チタンと骨がくっつき、それにより歯のような人工物が作れるという治療法です。
今まで入れ歯やブリッジでしか対応できなかった人がインプラント治療によって噛める喜び、恩恵を受けてきたと思います。
でもインプラントに使われる金属は純チタン単体ではないのです。
今回はインプラントで使用している金属、チタン合金やそれに伴うチタンアレルギーについてもう少し掘り下げてお話ししたいと思います。
インプラント治療の金属安全性、金属アレルギーについて
インプラント治療を行う上でやはり気になるのが金属アレルギーです。
大抵、『インプラント治療で使われる金属はチタンなので体には何の問題もないでしょう。』
などと説明を受けると思います。
インプラントで使用する金属は全てチタンなのか。 残念ながらそんなわけありません。
インプラント治療で使用する金属はチタン合金、チタンと微量な金属を混ぜ合わせたものであって純チタンではないのです。
歯科用インプラントで使われる金属についてもっと詳しくお話ししましょう。
歯科用インプラント、チタンの種類
歯科用インプラントで使われるチタン合金は1種〜4種の合金とTi-6Al-4V合金が使われています。
1種から4種の違いですが、O、Fe(酸素、鉄)の含有量によって区別されています。
1種は純チタンの中で最もO,Feの含有量が少なく、最もやわらかい純チタンとなります。
一方4種はO,Feの含有量を高め純チタンの中では最も硬い純チタンとなります。
歯科で使われる金属は大抵強度と加工性のバランス優れた純チタン2種がよく使われます。
その他Ti-6Al-4V合金はバナジウムとアルミナが入ったチタン合金で、非常に硬く強度があります。
海外製のインプラントメーカーではTi-6Al-4V合金製のものが多く使われています。
インプラント材料に含まれるバナジウム
純チタンがインプラント治療に使われて欲しいのですが、ほぼ多くのインプラントメーカーは強度のあるTi-6Al-4V合金の物を採用しております。
チタン、アルミ、バナジウム。
聞きなれないバナジウムという金属ですが、バナジウム単体で発がん性のある金属と言われています。
もちろん合金になることで体に影響があるというデータは今の所ありませんがバナジウム自体の使用を禁止している国があるのも事実です。
世界の製鉄会社ではインプラント治療で使用するTi-6Al-4V合金の使用から、純チタンの強度をもっとつける研究開発が行われています。
アメリカ、インプラント金属アレルギーの増加
過去十年間チタンはアレルギーが起こらないとされた時代がありました。
これはチタン自体が体に接触する環境がなかっただけで、インプラントが導入されてから20年、口の中、体内にチタンを触れる機会が増えてチタンアレルギーが世間で増えたのも事実です。
アメリカではこの十年間でのチタンアレルギーもしくはインプラントに対するアレルギーが6.4%増加したというリサーチもあります。
日本の製鉄技術。2種チタンの改良化へ
バナジウム使用によるチタン合金の採用からバナジウムフリーのチタン合金の開発が行われ始めました。
しかし柔らかい純チタンをどうやって硬度、強度を上げるのか。。
日本の製鉄会社「神戸製鋼」は純チタン2種を冷間圧廷加工という技術によってチタンに不純物の金属を入れずに強度を上げることに成功しました。
これにより歯科用インプラントにバナジウム含有のチタン合金から純チタンのインプラント治療が日本のインプラントメーカーから行えるようになりました。
日本のインプラントメーカーについてはこちら
チタンからジルコニアを使ったインプラント治療の問題
現在ではチタン合金からジルコニア合金を使ったインプラント治療を開発するインプラントメーカーが出てきてます。
しかし、ジルコニア自身強度や硬度に関しては問題ありませんが、靭性、粘りに弱く、インプラントとクラウンをつなげるジョイント部が破断しやすいため、どうしてもワンピースのものになってしまうのが難点です。
まとめ
インプラント治療で起こる金属アレルギー、チタンアレルギーについてお話しさせていただきました。
全ての方が安全に安心な治療を受けれるよう、日々インプラントメーカーや歯科医療は進歩しているんですよ。
世に出て間もない新しい治療だからこそ、さらなる研究と、長期的なデータが必要ですね。
金属アレルギーの方はインプラント治療をする際は担当の先生にぜひご相談くださいね。