こんにちはヴェリ歯科クリニック院長の田島です。
今回は前歯をぶつけたりして歯が欠けてしまったときに知っておきたい治療法のひとつダイレクトボンディング法についてお話ししたいと思います。
ダイレクトボンディングは歯にコンポジットレジンをつけて審美的な歯を作る新たな技法です。
でも全ての人にできるわけではありません。
ダイレクトボンディングが向いている方、向いていない方についてもまとめてみました。
前歯をぶつけて歯が欠けてしまったら?
前歯をぶつけて歯が欠けてしまった!!
いざそうなったらどんな治療法があるのでしょう。
応急的な治療としては欠けてしまった歯を接着剤で付けることもできますが、欠け方が大きい場合や、欠けたものがなくなってしまった場合は以下の治療法があります。
欠けた部分が小の場合コンポジットレジンで修正
欠けた部分が小さければコンポジットレジンという歯科用プラスチックで補修が可能です。即日で終わる簡易的な治療法です。
欠けた部分が大きい場合、補強材を作りクラウン(差し歯)を作る
歯が大きく欠けてしまったら、神経がある場合は神経を治療する必要があるかもしれません。
神経の治療の後に補強材を作り差し歯を作る必要があります。
欠けた歯を含め大きく歯を削らなければなりません。
神経がない場合でも同様に補強材、差し歯を作ります。
欠けた部分が大きい場合ラミネートベニアを作る
欠けた部分を含めてあまり自分の歯を削りたくない場合、歯の表面だけ少し削りセラミックのつけ爪、ラミネートベニアを作る治療法があります。
メリットは差し歯よりも歯を表面しか削らなくていい事です。
欠けた部分が大の場合ダイレクトボンディングで歯を作る
欠けた部分が大きくどうしても歯を削りたくない場合、ダイレクトボンディング法で治療することができます。
ダイレクトボンディングはいわゆるコンポジットレジンを油絵のように積み重ねて歯の形、色合いを出して歯を作っていく方法です。
保険治療で行うコンポジットレジンのような単色のものを使うだけでなく複数の色を使います。
実際の治療例
患者さまは40代女性、前歯をぶつけて歯を折ってしまったということで来院されました。
もともと前歯は神経の治療をしていました。実際に診察すると神経治療跡は裏側からされて、プラスチックの蓋がされていました。歯の大部分を失っていて審美的にも改善したいとのことでした。
治療前
治療後
差し歯やラミネートベニア等の治療法を提案しましたが、これ以上歯を削るのに抵抗があったためダイレクトボンディング法で対処しました。
ダイレクトボンディングがオススメな人
①あまり歯を削りたくないと考えている方
差し歯やラミネートベニアよりもほとんど歯を削る必要がありません。欠けてしまった歯の上にプラスチックを重ねて補う治療法です。
②差し歯(セラミックやジルコニア)にあまりコストをかけられない方
セラミックやジルコニアなどの差し歯は相場として10万円〜です。
もちろん保険治療でも差し歯を作れますが、レジン前装冠というプラスチック製の差し歯です。
ダイレクトボンディングは相場5万円〜ですので差し歯よりも低価格で治療が行えます。
③強い噛み込みがない方、歯ぎしりしない方
ダイレクトボンディングは差し歯に比べ強度がありません。
歯ぎしり、食いしばり、対合の歯が強く当たっている場合はあまりお勧めできません。
ダイレクトボンディングが向いていない人
①強い噛み合わせの方
②永続的に審美的なものを求めている方
セラミックやジルコニア製の差し歯はダイレクトボンディング法よりも審美性に優れています。
まとめ
歯を守るために自分の歯をこれ以上削らないことは大事だと思います。
しかしある程度大きく崩壊した歯には補強が必要だということも忘れてはなりません。
歯をほとんど削らず、差し歯やラミネートベニアよりも安いダイレクトボンディング法。
メリット、デメリットを踏まえて治療の選択肢として知っていただければ嬉しいです。