こんにちは、ヴェリ歯科クリニック院長の田島です。
私達が日頃摂取している栄養素。
その中には体を作る要素が色々ありますよね。
そんな栄養素と歯茎の健康について今回はお話しします。
歯茎を作る栄養素
歯茎を作ってくれる栄養素とその働きをご説明します。
ビタミンC
歯肉の修復
歯茎を細かく見るとその一つ一つがコラーゲンの繊維でできています。
このコラーゲンは細胞と細胞をくっつけたり歯と骨をくっつけたりする非常に重要な役割を持っています。
ビタミンCがなくなってくると壊血病といって出血しやすくなる病気になります。
歯周病は菌が繁殖するとコラーゲン繊維を破壊し出血しやすくなる病気です。
ビタミンCは傷ついたコラーゲンを再生したり修復したりしてくれるので歯周病で破壊されたコラーゲン線維を修復するには最適な栄養素になります。また抗炎症作用があるので炎症を予防してくれます。
ビタミンCがふくまれている食べ物はレモンと思いがちですが、実はピーマン、パプリカ、ブロッコリー、ケールなどに豊富に含まれています。
またビタミンCは水溶性ビタミンと呼ばれているので沢山摂取しても排出されてしまいます。
それどころかさらに過剰な摂取は下痢をする場合もあるので1日を通して毎食適量の摂取が好ましいです。
また最近では高濃度ビタミンC注射などがあります。
ビタミンCを注射することで体内の吸収率をあげるものです。
歯周病の治療の後にこのビタミン注射をすることで歯肉の回復を早める効果があります。
ビタミンE
感染を防ぐ、歯周病菌の繁殖を防ぐ
ビタミンEには抗酸化作用があります。
体の組織や細胞が酸素を使うと活性酸素が発生し、鉄が錆びるように細胞も劣化します(いわゆる老化です)。
ビタミンEに含まれる抗酸化作用は活性酸素から組織を守り細胞を劣化させないよう守ってくれます。
アンチエイジング栄養素であるビタミンEはどのような食べ物でしょうか。
①アーモンド
②唐辛子
③抹茶の粉
④すじこ
⑤煎茶の茶葉
などです。
そして意外にも焼き海苔はビタミンEもビタミンCも豊富です。
ビタミンB6 B12 葉酸
歯周病菌の繁殖を防ぎコラーゲンの質をよくする
主に加齢に伴って作られる代謝産物でホモシステインと呼ばれる物質があります。
ホモシステインは歯茎を作るのに重要なコラーゲンの質を悪くします。
コラーゲンは網目のように繊維同士が張り巡らしているのですがホモシステインがこの構造を弱くします。
ビタミンB群はこのホモシステインの生成を抑止します。
レバー マグロ カツオ にんにく などに多く含まれています。
βカロチン
体内でビタミンAに変わる、 抗酸化作用
βカロチンは体の中に取り込まれるとプロビタミンAとなりビタミンAの働きを担います。
ビタミンAはビタミンD、ビタミンB、ビタミンEの働きを助け、十分な力を発揮できるようにします。
またβカロテン単体でも抗酸化作用があるので、歯茎のアンチエイジングに一役かっています。
βカロテンは体には害がないので摂取量に制限はありません。
過剰に摂取すると少し皮膚が黄ばむ場合があるようですが、摂取を止めると治りますので害はありません。
油と一緒に摂取するといいようなのでニンジン、カボチャの野菜炒めるなどオススメです。
カルシウム
骨粗鬆症予防、歯周病菌の進行を止める
カルシウムは人間の中で一番多いミネラルで骨や歯を作っている構成成分です。
その他カルシウムは血中の伝達信号にも使われたり、ホルモン分泌や神経の調節にも重要な役割を持っています。
カルシウムを摂取しなくなると人は骨粗鬆症になりやすくなります。
骨粗鬆症とは骨がスカスカになる病気で、完治することはありません。
骨折をしやすいなど骨がもろくなる病気で、これを阻止するための薬を飲み続けることになります。
ビスフォスフォネートと呼ばれる薬剤がよく使われるのですが、この薬、歯科治療で骨が腐ってしまう可能性があるのです。
BRONJと呼ばれる病気で抜歯やインプラント治療が難しくなります。
またカルシウム不足による骨粗鬆症の方と一般の健常者の方とで歯周病の割合を比べると、骨粗鬆症の方のほうが多いというデータもあります。
歯周病予防のためにもカルシウム摂取は必要になります。
エビ(殻つき)、小魚、乳製品には豊富にカルシウムが含まれております。
食物繊維
歯周病が悪化するのを防ぐ
食物繊維と歯周病の関係について先日アメリカ歯周病学会で面白い報告がありました。
本文についてはこちら
30歳以上の成人に食物繊維、米小麦、果物、野菜の摂取量と歯周病になっている方との関係を調べたところ、食物繊維を多く摂取している方に歯周病罹患率が少なかったことが報告されてました。
食物繊維には歯に付着した汚れなどを除去する効果もあるようです。
食物繊維を多く含んでいる食材は
ごぼう、キクラゲ、切り干し大根などです。
まとめ
この栄養素以外にもマグネシウム、リンなど多くの栄養素が歯周病予防に必要です。
過剰に摂取することなくなるべく多くの種類の栄養素を適量摂ることをお勧めします。
最近はサプリメントなども多くありますが、全てをサプリメントで補うよりも足りない栄養素を補う程度に考えていただいた方がいいと思います。
1日の食事でバランス良く栄養を取り入れてくださいね。