こんにちは、ヴェリ歯科クリニック院長の田島です。
日常の動作で、気がつかずに歯と歯が接触することがあります。
もちろん私も歯と歯が当たりますし、当たらない人はいないと思います。
統計データでは日中、歯と歯が接触する時間はトータルで1日平均15〜20分と言われてます。
普段何気なくしていることが時によってあごや歯を傷めてしまうことがあるんです。
歯の接触癖
歯を接触させることは時に食いしばることにつながります。
また歯を接触するだけでも歯、筋肉、舌などの組織は疲労してしまいます。
例えばパソコン画面やスマホに集中している時、仕事に集中してる時、何気ない時に食いしばっています。また、精神的ストレスはくいしばりを増長させると言われています。
日常おこりうる歯の接触癖、皆さんも思い当たることありませんか。
- パソコン操作で集中している時
- 調理に集中している時
- テレビやゲームに夢中になっている時
- 下を向いてスマホをしてる時
- 考え込んでいる時
- 何かでイライラしている時
- スポーツで歯をくいしばることが多い時
精神的ストレスと食いしばり
人間だけでなく哺乳類でさえも食いしばりや歯ぎしりをするのです。
猫や犬などの犬歯が大きく発達した動物は本来獲物を捕獲するため犬歯を研ぐ行動をします。
しかし今ではそのようなことがなくなり、人間と同様、環境や状況の変化に伴う社会的なストレスによりくいしばりや歯ぎしりをおこしてるのです。
また生後まもない赤ちゃんや乳歯が生えている幼児は歯を擦り合わせたりする癖があります。
これも精神的ストレスが関与しています。
現代の日常において誰もが何らかのストレスを抱えています。
筋肉の運動や反射は脳の大脳皮質運動中枢、錐体外路系、運動抑制中枢というところに支配されています。
また大脳皮質は知性、理性を働かせ高度な精神活動を行い、情動的な刺激は大脳辺縁系と呼ばれるところを介して視床下部に伝わります。
視床下部というところは自律神経の中枢であり感情や情動の影響を受けて交感神経や副交感神経に伝わります。
怖い、怒り、緊張、不安、これらの精神的ストレスは交感神経を興奮させます。
交感神経が活発になると筋肉が緊張したり、心拍数が上がったり、瞳孔が大きくなったり、血圧が上がったりします。
このような動物実験がありました。
動物の交感神経を司る視床下部に電気刺激でストレスを与えて興奮させると、噛む時によく使う筋肉、閉口筋運動ニューロン(ほっぺたの下のあごにつく筋肉やこめかみの上にある筋肉)が興奮したという実験です。
筋肉の緊張がストレスの有無により乱高下することが解明された実験です。
では食いしばりをなくすためにはどのような予防策があるのでしょうか。
ストレスをためないことはもちろんの事、実は自分が食いしばりがあることに気づくことが一番大事なのです。
認知行動療法とも呼ばれています。
日中の食いしばり対策
日中の食いしばり対策は、まず自分が気づくことです。時々意識して食いしばっているかどうか確認してみてください。
もし気づいたらあごの力を抜いて上下の歯と歯を離してください。ついでに肩の力も抜いてリラックスしてください。
もしスペースのある場所であれば軽いストレッチもいいかもしれません。
あご周りストレッチ
- 無理しない程度に大きく右を向きゆっくり10秒
- 大きく上を向き10秒
- 左、下の順で10秒向く
- 今度は今の順で首をゆっくり2回、回します。
- 反対方向に2回回します。
- 両肩を大きく3回します。その逆を3回回して終了です。
まとめ
睡眠中の食いしばりや歯ぎしりは、日中の6倍以上の力が働いて歯ぎしりをおこすというデータがあります。
その為、歯科医は夜のマウスピースの使用を奨めているのです。
しかし夜は常にマウスピースをつけているという方でも歯に歯ぎしりやくいしばりの痕跡が見受けられることもあります。実際この方たちを調べたところ日中に歯をギリギリする癖があって歯が削られていることが分かったのです。
日中の歯の接触癖が原因で歯の痛みを起こすことがあります。
そういった方は夜間だけでなく、日中のマウスピースをお勧めしています。
もちろん人と話をする時や食事の前後などはできないと思いますし、日中は装着が難しい方も多いと思います。
私がお勧めしているのはまず自分が集中している時に歯があたっていないかに気づき、そして歯が当たっていると認識されたら集中している時だけマウスピースの使用をすることです。
例えば調理中、パソコンを使用している時、スマホをしているのであればゲームや検索をしている時だけなど歯の接触を自覚する時のみ使用するフレキシブルな活用がよろしいのではないかと思います。
ちなみにスポーツをする時マウスピースを使用する際はスポーツ専用のマウスピースがあります。競技によってもマウスピースの形が違いますのでご自身が行うスポーツに見合ったマウスピースをお勧めします。