こんにちは、巣鴨ヴェリ歯科クリニック院長の田島です。
歯がしみて虫歯の治療しに歯医者さんへ行ったのに
『これは虫歯じゃありませんよ。』
と言われたことはないでしょうか。
噛み合わせや、食生活、日常の歯磨きによってしみることを一般的に知覚過敏といいます。
知覚過敏により日頃の食事の時、夏の暑い時期の冷たいもの、冬の寒い時期の空気、キーンとくるあのいたたまれない痛さを経験した事のある方は多いのではないでしょうか。
知覚過敏の原因
1. 強い噛み合わせによる場合
噛む力が強いと、その力が歯に伝わった時に外側のエナメル質にヒビが入ったり、歯茎部(歯の付け根部)のエナメル質が欠けてしまうことがあります。
エナメル質は97%が硬い硬組織でできている為歯をいろんな刺激から守ってくれていますが、このエナメル質が欠けるとその内側にある象牙質と言われる部分が露出します。
象牙質も歯を守っていますが、実はその30%はコラーゲン、つまり水分になるのでエナメル質と比べると脆弱なのです。
エナメル質が欠けてしまい露出した象牙質に冷刺激が入ると、象牙細管と言われる管の中の組織液が最深部の神経に反応し、電気が走ったように痛くなるというわけです。。
2. 強い力で歯磨きした場合
歯磨きをするときに硬い歯ブラシを好まれる方も多いと思います。硬い方が歯をよく磨けている気がするし、歯茎のマッサージ効果もあり気持ちがいいですよね。しかしこの硬い歯ブラシの摩擦が外側のエナメル質を削ってしまう事があります。
実は歯茎部(歯の付け根)のエナメル質は全周覆われている中で唯一薄い部分にある為、強い力で歯磨きをすると経年的に剥がれて象牙質が現れやすいのです。
3. コーラ、食酢、レモン汁を過剰にとる人
これらの溶液はご存知の通り強い酸性の液体ですが、これらに歯を漬け込むと数日で歯が溶け出してしまったという実験データがあります。
口の中では極力酸性やアルカリ性に傾かないよう唾液などによって中性に保つよう維持されていますが、極度に酸性の液体を摂取すると歯が溶けだして象牙質が露出してしまうのです。
一般的には酸蝕症と言われていますが、これは結果知覚過敏になります。
4. 逆流性食道炎など嘔吐を繰り返す人
嘔吐などに含まれる胃液も強酸性の液体です。これが歯に触れることが多くなると歯が溶けだしてしまいます。口の中は③と同じような状態になります。
これら以外にも治療で歯を削った後、歯周病の治療の後、詰め物を入れた時などにしみる事がありますが、その主な原因は象牙質が露出する事で起こるのです。
知覚過敏の治療
1. 知覚過敏の反応を鈍くさせる薬を使用した治療
カリウムイオンが知覚過敏には有効で、この成分が含まれている歯磨き粉シュミテクトや歯科医院での薬剤塗布によって治療をします。
象牙細管(象牙質の管)にあるセンサーを脱分極、つまり電気をおこしにくくさせるのです。
2. 象牙細管に膜を張る成分がある薬を使用した治療
象牙細管に膜が貼れる成分として接着性モノマー(接着剤の1種)やサホライドという薬剤を塗布します。
3. レーザーによる治療
レーザーは低出力モードで過敏反応している神経の痛みを和らげる能力があり、高出力モードで開いてしまった象牙細管を塞ぐ能力があります。
4. マウスピースや噛み合わせ調整による治療
強い噛み合わせによってエナメル質がかけてしまった歯は①から③の治療を行っても原因を取り除くかなければ治りません。
強く症状が出ている人には、しみているその歯だけを最小限削り、夜寝ている間の嚙みしめをなくすようマウスピースを使用します。
5. 欠けた歯の部分にプラスチックを張る治療
歯茎部の大部分が欠けている場合、この部分にプラスチックを張って治療する方法があります。
欠けた部分は審美の面から見ても良くないので一般的によく治療される方法です。
ただし、噛み合わせが強い方は幾度もプラスチックが取れる可能性もあるのでその方は④の治療を行ってから行う必要があります。
6. ルートカバレッジ (根面被覆 高度歯周手術)
元々あった歯より根が極度に露出してしまう場合、歯肉が厚い場所から歯肉を移植してもらう治療であす。審美の面から見ても⑤の治療で賄えないくらい根が露出した歯に有効となります。
7. 認知行動療法
知覚過敏がおこる原因となる嚙みしめや歯ブラシで磨く時の力の強さ、また酸性の嗜好品の摂取など、まず本人に自覚してもらうことで治ることもあります。またストレスをなくす事で治る事もあります。