こんにちわヴェリ歯科クリニック院長田島です。
日常の診療でこんな会話ありますよね。
歯医者さん『虫歯を治療しましょう。では型取りをして銀歯になりますね。』
患者さん『えっ?銀歯は嫌なんだけどなあ。。』
歯に銀歯の詰め物を入れたくない方に知ってほしいコンポジットレジンの治療法をまとめてみました。
銀歯より白い詰め物で治療したい方に知っておきたい治療法
まずはこの虫歯取り終わるとどんな詰め物になるでしょう。
一般的に行われる治療ではこんな詰め物が入ります。
みなさんの歯にもこの詰め物あるかもしれませんね。
これは保険治療で行われるインレーという詰め物で使用される金属は金銀パラジウム合金が使われています。
金銀パラジウム合金とは主に、金、銀、パラジウム、銅が含まれ、錫、ストロンチウム、が微量に含まれています。
でもこんな治療法もあるんです。
上の写真は虫歯の部分を削った後に不必要な歯を削らずにプラスチックを詰めるコンポジットレジン治療で治療を行いました。
銀歯の治療とコンポジットレジン治療についてお話ししますね。
なぜ銀歯で詰めるの?
歯を削った後になぜ私たちは銀歯を詰めるようになったのでしょう。
かつて日本では戦後保険治療で使われていたの金属は金合金のインレーを使用していました。いわゆる金歯というものです。
しかし全ての国民に金歯を入れることは財政的にも難しく金の価格高騰を受け金に変わる材料を探しました。
それに変わる材料がパラジウムという金属です。金と銀に12%パラジウムを入れることで非常に安定した金に似た金属を作ることができたのです。
以降日本では12%パラジウム合金が保険治療で使用される金属になったのです。これが現在日本で使われている『銀歯』です。
銀歯で詰めるときに歯を多く削る?
銀歯などのインレーを歯に入れる場合、虫歯以外の健康な歯を削らなくてはなりません。
こちらの画像でいうと虫歯以外に青線の部分も削ります。
なぜかというと銀歯がその歯に維持するため、つまり外れないようにするため健康な部分を削らなくてはなりません。
『この虫歯の時はこれくらい削らないといけない。』
というように歯医者さんは虫歯の範囲によってどう削らなくてはならないか、学生の時に勉強します。
インレーを削るためにブラックの窩洞を参考にします。
(引用http://minna-shigaku.com/category15/entry40.html)
そのためただ虫歯のみを削るだけでなく健康な歯も削らなくてはいけないのです。
コンポジットレジンの症例ブログはこちらから
コンポジットレジン治療で白く詰める
しかし最近では銀歯などのインレー治療よりもコンポジットレジン治療が世界でも多く普及されています。
欧州、アメリカだけでなくブラジル、中国、スペインなどの国でも多くコンポジットレジン治療が多く行われています。
なぜコンポジットレジンは日本だけでなく世に広まったのでしょう。
①治療法の確立
コンポジットレジン治療はそれを行える技術力が必要です。簡単に言うと治療が上手い人とそうでない人に分かれます。
それでも昔に比べ現在コンポジットを使った治療技術がある程度確立されてきたことで上手い人が多くなりました。
特に歯と歯の間などの隣接面を治療するときに現在では専用のキットを使い治療を行います。これを行うことでより正確に隣接面の形を仕上げることができます。
(引用 http://www.clinicalresearchdental.com/)
②高強度耐磨耗性の製品
コンポジットレジンとは歯科用プラスチックのことでフィラーと呼ばれる粒子とベースと呼ばれるマトリックスが合わさったものです。光をあてることで固まります。
例えばネイルサロンに通われている方はご経験あるかもしれませんが、光を当てて固まる材質は歯科用プラスチックに似た材質なんです。
20年前以前に使われていたコンポジットレジンの材質はもろくとても弱いものでした。コンポジットレジンはこの数年で強度、磨耗性が上がるようになり、セラミックや金属に変わる材質になりつつあります。
③金属価格の高騰
昨今、北朝鮮のロケット問題や中東のイスラム国問題を受け世界情勢は不安定になっています。
世界情勢が不安定になると安定したものへの投資が多くなります。
つまり金などのレアメタル、パラジウムもその影響を受け、ここ数年で金、銀、パラジウムの価格は急騰しています。
歯科用金属は実は今費用に高いのです。日本では現在保険治療で金属補綴が行われていますが、海外では保険治療が賄われていないため金属で治療するよりもコンポジットレジンでの治療が多くなっているのが現状です。
(引用https://www.scgr.co.jp/report)
コンポジットレジンは保険治療でできる?自費治療でできる?
保険治療でコンポジットレジン治療は可能です。しかし全ての歯科医院で保険治療のみで行なわれているわけではありません。
それは技術料(一回の治療で1時間〜2時間の治療)であったり、コンポジット材料の違い、隣接面用キットの使用、研磨専用器具の使用などを踏まえます。
また虫歯の範囲だったり、食いしばりの奥歯などで技術的にコンポジット治療が難しい場合もあります。
これら全て踏まえ、一人当たり長時間で治療を行うと保険点数で算定できる治療代を大きく超え赤字必須になります。
全ての労力を使って赤字でも患者さんに満足してもらいたい歯医者さんもいらっしゃいますし、しっかりと時間と技術に見合った治療費で行う歯科医院もあります。
強度性に富んだコンポジットレジンは保険外になります。
まとめ
歯をなるべく削りたくなければ銀歯のインレーよりもコンポジットレジンでの治療をお勧めします。
しかしコンポジットレジン治療が万能なわけではありません。例えば奥歯などの咬合力が強くかかる場合は金属やセラミック、ジルコニアなどの強度がある素材の方がお勧めです。
コンポジットレジンでの治療は技術力に左右されます。治療したことでかえってデンタルフロスが引っかかったり、何度も割れたり、物が挟まったりすれば別の治療法を考えなくてはなりません。
コンポジットレジンができる範囲は歯医者によって意見は異なりますので全ては患者さんと歯医者さんで虫歯治療について話し合って決めましょう。
『ここの虫歯はコンポジットがお勧め、ここはお勧めしないよ』
などと相談してみてください。