ロシアのウクライナ侵攻からみる歯科経済の今後

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こんにちは巣鴨ヴェリ歯科クリニック院長の田島です。

 

本日はロシアとウクライナの緊張した情勢からこれから私たちの生活におこる可能性、特に歯科治療における今後について推察してみました。

2022年2月24日 ロシアのプーチン大統領の指令によりロシア軍がウクライナを進撃し始めました。世界中の非難にも目もくれず未だロシア軍は侵攻を続けウクライナ首都のキエフを砲撃しています。双方多数の死傷者を出しているようでとても衝撃的であり悲しいことです。

アメリカやEUではとうとう最後の経済制裁スウィフト(SWIFT)の制裁を決定しました。スウィフトとは海外の企業、銀行間の取引をドル建てすることで送金、決済することで貿易できるシステムですが、アメリカの影響を大きく受けます。

もちろんロシアにだけ大ダメージが受けるわけではなくロシアと貿易している国にも少なからずかえり血を浴びる形になりいわゆる諸刃の刃とも呼ばれる経済制裁になります。

日本とロシア間で日本がロシアに依存しているものといえば小麦や天然ガス、鉱石、石油などいわゆる天然資源です。

この戦争によりまずガソリンや小麦粉の価格が高騰することになります。それだけでなく大豆やとうもろこしなど農作物も高騰することになるでしょう。

 

では歯科治療には影響が出るのでしょうか。

もしこのままロシアがウクライナに侵攻し続け、スウィフト制裁がアメリカEUだけでなく日本や他諸国も参加することになると日本の歯科治療で行う銀歯ができなくなります。

銀歯の素性はパラジウムやアルミニウムの金属を合金にしたもので通称パラジウム合金と呼ばれます。保険治療でいわゆる銀歯と言われて昔から馴染みのあるものです。1950年代歯科保険治療で虫歯の治療箇所をつめる金歯を作るためには金の価格があまりにも高いため代替え金属としてパラジウムを合金にしました。金パラは金と似ている剛性なので歯の治療で保険治療として採用されました。

パラジウムはその後精密機器を作るための半導体として、自動車製造の触媒など多くの用途で使われるようになりました。

1990年のパラジウムの価格は1グラムあたり700円台

1998年のパラジウムの価格は1グラムあたり1200円台

2014年のパラジウム の価格は1グラムあたり2800円台

そして2022年2月27日現在 1グラムあたり10000円台に高騰してしまいました。

保険治療のパラジウム合金での詰め物は1歯あたり2500円程度です。使われるグラムにもよりますが1グラム使うと7500円の赤字治療になりますね。

ロシアはパラジウムの主要産出国で輸入の97パーセントを日本は依存しています。銀歯を作るためにはアルミニウム、インジウムなどの金属も使われますがこちらもほぼロシアに依存しています。

おそらく近い将来日本の保険制度で銀歯はなくなことになるでしょう。

2020年からパラジウム合金に変わる代替え金属としてチタンが使われるようになりました。

チタン冠は8500円程度で神経の治療をした差し歯などに扱える金属です。部分的な詰め物には扱えません。

チタンの輸入国には中国、オーストラリア、アフリカなどがありますが、実はウクライナとチタンはかなり深い関割りがあります。ルチル鉱、スポンジチタンではウクライナと取引があり、またウクライナはチタン埋蔵量国別4位に当たります。

現状チタンの供給に関しては中国に依存しているため影響は少ないですがロシアがウクライナを傘下にしスウィフト制裁で独り者になったロシアに中国が手を差し伸べる形になれば影響は出るかもしれません。

銀歯以外で他の素材はないのか。

CADCAM冠と呼ばれるPMMA系のプラスチックを現在保険治療で認可していますがPMMA系プラスチックは長期安定性がなく摩耗性がありすり減り、また吸水性があるためバクテリアや菌を定着させたり色素沈着が起こります。

噛み合わせにあまり関係のない第一小臼歯もしくは第二小臼歯位ならまだ許容できるが他の部位で適用するには疑問が残るかと思います。

 

ここで残る選択肢として現在自費治療として使われるセラミックやジルコニアを保険治療で認可するか。銀歯を保険治療適用外にするかの二択かと思います。

と近い将来のことを考えてみました。ロシア情勢と歯科治療の影響がについての私見でしたが、なるべく戦争が終わって世界が安定することを私も皆様も祈るばかりです。

長文にお付き合いくださりすいません。