こんにちは巣鴨ヴェリ歯科クリニック院長の田島です。本日は若年性歯周炎とブルーラジカル、エルビウムヤグレーザーでの歯周治療についてお話しします。〜若くても歯がグラグラ?歯ぐきを切らずに守る方法〜
若年性歯周炎とは?

歯周病といえば「40代以降に増える病気」というイメージがあるかもしれません。けれど、最近の研究では10代や20代でも歯を失ってしまうタイプの歯周病があることがわかってきました。それが「侵襲性歯周炎(若年性歯周炎)」です。
広島大学の研究チームは、この病気の原因のひとつに MMD2(エムエムディーツー)遺伝子 という遺伝子が関係していると発表しました。この遺伝子に変化があると、体の中で菌と戦う「好中球」という細胞がうまく働かなくなります。その結果、歯ぐきの奥にいる細菌を抑えきれず、骨が急速に溶けて歯がグラグラするのです。
発症率はおよそ1000〜2000人に1人。まれな病気ですが、家族内で複数人が発症する例もあり、若くても安心できるとは言えません。実際、「バナナを食べただけで口の中が血だらけになった」というほど出血が強いケースも報告されています。若くして歯を失うについて詳しくはこちら
保険治療での歯周病治療とその限界

若年性歯周炎であれ慢性歯周炎であれ歯周治療が最初に行う治療です。では、従来の保険治療での歯周病治療はどのように行われてきたのでしょうか。
まずは歯石を取る処置(スケーリング・ルートプレーニング)です。歯ぐきの中まで器具を入れ、歯の根についた汚れをこすり落とします。歯と骨の間にある溝ポケットの形態や箇所に応じて一回の来院ではできず何回かブロックごとに分けて通院が必要になります。例えば右上奥歯、上の前歯(八重歯から八重歯)左上奥歯、右下奥歯、下前歯(八重歯から八重歯)、左下奥歯の6ブロックに分けるのが定番です。
ポケットが深いと、どうしても器具が届きにくく、取り残しが出てしまうこともあります。どんなに優れた技術の歯科衛生士が施術をしたとしても奥歯で21%前歯で11%の取り残しがあるという論文もあります。また鋭利な器具で歯にこびりついた歯石を取り除くことで健康なセメント質も剥がれてしまいます。
スケーリング終わった後、歯周病治療ではさらに進行した場合の箇所では歯ぐきを切って奥を直接見ながら掃除するフラップ手術が行われます。これなら奥まできれいにできますが、歯ぐきを切り開いたあとは形が変わり、歯ぐきが下がってしまうことが多いのです。その結果、
- 歯が長く見えてしまう
- 根が露出してしみる
- 食べ物がはさまりやすい
といった新しい悩みが出てくることもあります。
つまり、「奥まで掃除できる」というメリットの一方で、「見た目や噛み心地に影響する」というデメリットが避けられないのが従来治療の課題でした。
最近では再生治療といって失った骨を再生する治療もありますが適用が限られます。
ブルーラジカル:切らずに菌を減らす

そこで登場したのが ブルーラジカル殺菌治療 です。
仕組みはこうです。歯ぐきの奥に過酸化水素を流し込み、そこに青いLEDレーザー光を当てます。すると「ヒドロキシルラジカル」という強力な物質が発生し、細菌を壊して死滅させます。
従来の器具では届きにくかった奥の菌まで一気に作用するのが特徴です。東北大学で行われた臨床研究では、ブルーラジカルを使った治療は従来の処置よりも歯周ポケットを浅く改善する効果があると報告されています。
特に、ポケットの深さが5〜7mmほどのケースに有効とされます。従来なら「手術も検討」と言われやすい段階でも、ブルーラジカルなら歯ぐきを切らずに対応できる可能性があります。また歯周ポケットが10mm程度の抜歯が必要な歯でのポケット改善も報告されており、抜歯が必要な方でも最近では応用されてます。
レーザー治療:歯ぐきを整えて安定化

片や細菌を減らすだけでは治療は十分ではありません。炎症で傷ついた歯ぐきの奥を整え、再び悪化しないようにしてポケット自体を改善し深かったポケットを浅くする必要があります。ここで使われるのが レーザー治療(ER-LCPT) です。
このレーザーは、歯ぐきを切らずにポケットの中まで届き、汚れた組織を取り除きます。また、照射により出血部に安定した血のかたまりができ、歯ぐきや骨の再生が進みやすい環境をつくります。線維芽細胞と呼ばれる歯肉を作る細胞を活性させ付着性歯肉を作って歯茎を改善させます。

東京医科歯科大学などの研究でも、レーザーを使った場合は従来の処置よりもポケットの深さが改善し、出血も減ったと報告されています。つまり、フラップレス治療(歯ぐきを切らない方法)でも十分な効果が期待できるのです。
ヴェリ歯科クリニックでの二軸治療
ヴェリ歯科クリニックでは、
- ブルーラジカルで歯ぐきの奥の菌を減らす
- レーザーでポケット内部を整え、安定させる
という二段階の流れを組み合わせています。
これにより、従来なら「歯ぐきを切るしかない」と言われるようなケースでも、きらない歯周治療を実現できる可能性があります。炎症が落ち着けば、その後は定期的なメンテナンスで十分に管理が可能です。
まず歯茎が汚れている場合は短期間でラジカル殺菌で膿や歯肉出血を改善させその後レーザーで歯肉の繊維化を狙い付着性歯肉を獲得させます。
当院での歯周治療では ブルーラジカル&エルビウムレーザー治療を1時間5万円で施術を行なっております。
まとめ
- 若年性歯周炎は、遺伝子の異常によって若い世代でも歯を失うリスクがある病気
- 一般的な歯周病治療は効果があるが、歯ぐきを切ることで新たな問題が起きることもある
- ブルーラジカルは、5〜7mmのポケットでも手術に頼らず殺菌できる新しい方法
- レーザー治療は、切らずに歯ぐきを整え、再生を助ける
- ヴェリ歯科クリニックでは、この二つを組み合わせた二軸の治療法で、抜かない歯医者として新しい選択肢を提案している