『最近、私歯が伸びた気がする』
『前歯が少し前に出てきた？』
『親知らずが生えてきた』
『大人になって歯が伸びてきたけど、これどうすればいいんだろう…？』
『歯が伸びる』『前歯が出てくる』『親知らずの成長』に不安を感じている方、いませんか？
実は、大人になっても歯が伸びたり、移動したりすることがあります。放置すると歯周病などのリスクがあるため注意が必要です。
この記事では、噛み合わせ認定医のヴェリ歯科クリニック院長の田島が歯が伸びる原因やそれによる悪影響、具体的な治療法を解説します。
気になる方はこの記事をご覧の上、治療を検討してみてください。
歯が伸びたり、移動したりする原因
歯は正しい噛み合わせが必要です。噛み合っていない場合には大人になってからも歯は移動することがあります。例えば、噛み合っていないスペースを埋めるために、歯や周囲の骨が盛り上がってくるようなケースです。
では、歯が伸びたり下がってくるときはどんなときでしょうか。
① 対合する歯が抜歯された場合
歯が抜かれると、その対合する歯が伸びたり下がってくることがあります。抜歯後、数週間から数年で、対合する歯が抜歯した部分に噛み込んでくることもあります。放置すると、二重治療が必要になってしまう可能性もあります。
② 対合する歯の虫歯治療が放置された場合
昔の詰め物や被せ物が取れたまま放置している方や、歯の根の治療を長期間行っている方、途中で中断した方は、対合する歯が移動して詰め物の部分に噛み込んでいる可能性があります。
③ 歯同士が正しく噛み合っていない場合
『シザースバイト』『鋏状咬合』『すれ違い咬合』とも呼ばれる状態です。歯同士が噛み合わず、側面で当たっている場合に起こります。噛み合っていないため、歯が極限まで伸びたり落ちたりすることがあります。
④ 親知らずや隣の歯が押してしまう
うまく噛み合っていても第三の力のが働くことによって歯が伸びたり、ずれていく状態のことです。
主にまっすぐ生えていない親知らずによって、隣の歯が押されてずれてしまうケースがほどんどです。
歯が伸びるたり下がってくるとどんなトラブルがあるのでしょう。
①移動した歯が対合の歯に対して悪影響を及ぼす
歯が伸びることによって、対合する歯に対して圧力や負荷がかかり、歯に不具合や痛みが生じる場合があります。
②移動した歯が対合の歯茎に噛み込んでくる
歯の伸びや移動によって、歯茎に対して異常な圧力がかかり、歯茎の炎症や痛みが起こる可能性があります。
③虫歯や歯周病になりやすい環境を作る
歯の伸びや移動によって、歯と歯茎の間に隙間ができて歯垢が溜まりやすくなり、虫歯や歯周病のリスクが高まることがあります。
④噛み合わせが悪くなる
歯が伸びたり移動したりすることによって、噛み合わせの調整が崩れる可能性があります。
歯が落ちてきたり、移動したりする事によるリスク
被せ物（特に白い被せ物）を製作する時には、歯の高さ（歯冠高径）と対合の歯との余白（クリアランス）が重要になってきます。
1. 歯の高さ（歯冠高径）
被せ物の歯の高さ（歯冠高径）が３mm以下になると、著しくその被せ物がはずれやすくなるという統計データがあります。
歯の被せ物を製作する際、私たちは被せ物の高さを考慮して製作にあたるため、なるべく３mm以上の歯質を確保します。
しかし、例えば上の歯が下がってくる場合、噛み合う下の歯がすり減って短くなってしまい、歯質が３mm以下になっていることもありえるのです。
高さが確保できなかった歯に対しては、最悪の場合、差し歯などを作れないこともあります。
2. 対合の歯との余白（クリアランス）
対合する歯との距離が1.5mm以上確保できなければ基本的には白い被せ物は製作できません。
現在は、フルジルコニアクラウンなどの薄くても割れない素材が開発されていますが、やはり1.5mmが限界です。
白い被せ物の代表格メタルボンドの製作時には0.5mmの金属フレームの層、その上に足すセラミックの層1.5mm、合計２mmが対合する歯との間に確保できないといけません。
総じて、（1）の３mm、（2）の1.5~2.0mm 合計4.5mm以上が上の歯と下の歯の間に必要なスペースなのです。この間隔が4.5mm以下になる場合は、以下の方法で対処することになります。
歯が伸びたり、移動したりした際の治療法
1. 下がってしまった歯や伸びてしまった歯を少し削る
落ちてきた歯や伸びてしまった歯を少し削って対合の歯を製作する方法: 歯の移動が4.5mm範囲内であれば、対合の歯を削ることで対処することができます。削る歯の量が0.5mm以上でエナメル質の先の象牙質まで削らないといけない場合には、削られた歯が象牙質のエリアになり、冷たい刺激に弱く、また歯としての強度も弱くなります
２. 矯正により下がってしまった歯や伸びてしまった歯を元の位置に戻す方法
矯正を利用して移動してしまった歯を元に戻す方法です。
全体の歯にブラケットを装着して行う『全顎矯正』と、伸びてしまった歯の付近にアンカースクリューと呼ばれるネジを入れて引っ張る『部分矯正』があります。
矯正治療のデメリットは、伸びてきた歯を中に再度入れるケースの場合、矯正治療でも高度な技術が必要になる難しい治療となる点です。
また歯の根が少しなくなる恐れがありますので、元々の歯の根が短い人には向いていません。
3. 製作する歯の歯ぐきを整形して被せ物の高さを確保する方法
対合の歯が伸びたり下がっていることに関係なく、歯の高さ（歯冠高径）が確保できない場合、短くなっている歯の根元の歯ぐきを整形し、歯冠高径を確保する方法です。
基準になる噛み合わせに異常がなく、当該する歯だけが短い場合に使う治療です。
デメリットとしては神経が生きている歯の場合に後々しみる場合があることと、外科処置なので糸で縫わなければいけないことです。
4. その他、咬合の高さを全て上げる方法、対合の歯に薄い金属の被せ物をする方法
元々の歯の高さ（歯冠高径）や歯のスペース（クリアランス）の不足が一本の歯だけでなく多数の歯にまたがる場合、すべての歯を調整して噛み合わせの再構成をする治療があります。
また、現在一番薄い金属のPGA（白金加金合金）の被せ物であれば、その厚さ0.5mmのクリアランスで装着できます。白い被せ物にはできませんが、このような形で対処するのも一つの手です。
まとめ
いかがでしたでしょうか？伸びてきた歯を放置しておくと様々な悪影響がありますので、早い段階での治療をお勧めいたします。
ヴェリ歯科クリニックでは噛み合わせ認定医である院長があなたの噛み合わせを多角的に分析し、噛み合わせを考慮した歯科治療を提案しております。
興味のある方は下記ページの治療の詳細も合わせてご覧ください。
当院では虫歯治療やかみ合わせ改善だけでなく、矯正についてもご相談を承っております。
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