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最新矯正治療ニュース(アメリカ編)

こんにちは、ヴェリ歯科クリニック院長の田島です。

日本でも矯正治療が増え、最新の治療インビザライン(マウスピース矯正)や裏側矯正治療も多く普及してきましたね。

アメリカやヨーロッパでは日本人よりも矯正治療を受ける患者さんが多く、一部保険で行われている国もあるようです。

まだまだ世界の中では日本の矯正治療の普及は少ないですが、ところ変わって矯正最前線の国アメリカの歯科事情をお話します。

アメリカ最前線矯正治療、3大トピック

私(著者)が2016年8月にアメリカ審美歯科学会(AAED)へ参加した際アメリカの矯正トピックについて、アメリカ矯正医Drビンセント・コキッチJr が講演されていました。

今回、講演されていた矯正治療の最新のトピックをお話ししたいと思います。

(2016年 12月現在)

ビンセントコキッチJrについてはこちら

propel(プロペル)

propel(プロペル)とは最小限の侵襲で骨のモデリングを期待した装置と言われています。

まず矯正している歯がどのように動くかのメカニズムについて知る必要があります。

矯正によって歯に動く力が働くと骨を作る細胞と骨を溶かす細胞が活発になり骨を溶かしながら道を開け、歯が動いてくると通った道に骨が作られる仕組みで歯は移動します。

プロペルは歯茎と骨に小さい穴を開けることで骨を作ったり溶かしたりするメカニズムを促進させます。つまり使用することで早く歯が動くと思ってください。

プロペルは通常の歯科用麻酔を少し効かせるだけで治療が可能で、痛みもなく、腫れたりすることもないので体に優しい矯正促進治療だと言えます。

以前コルチコトミーと呼ばれるスピード矯正が流行っていました。

コルチコトミーとは外科的に矯正治療を早く終わらせる治療で、歯と歯の間の骨を削ることで歯の移動を促進させる治療のことです。

歯と歯の間の骨を削るのは十分な麻酔をして外科手術のように歯茎を切開してめくり、タービンと呼ばれる切削器具で骨を削るのです。

想像するだけで痛そうな治療ですが通常の矯正治療よりも早く終了します。

このコルチコトミーに比べ、プロペルは歯茎をめくったり傷つけることをせずに歯の移動を促進させることができるので非常に安全な治療だと言えます。

Acceledent(アクセルデント)

acceledentは矯正治療において歯の動きを促進させる治療器具になります。

電源を押すと装置に振動が加わります。

この装置は矯正期間中、時間がある時に装置の歯をかませるところに歯を咥え1日20分間過ごします。

どんなメカニズムかをご説明します。

そもそも歯は骨にくっついているわけではありません。

歯と骨との間には歯根膜と呼ばれる靭帯がありこの靭帯が歯と骨を仲介してくっついているのです。

矯正治療をするとまず歯の周りにくっついている歯根膜靭帯が取れていきます。

これは先ほど説明した骨を溶かす細胞が出す炎症性の物質によって靭帯が取れます。

歯根膜の靭帯が取れることで歯は容易に動くことができますが、歯根膜の靭帯は簡単に再生し再び歯と骨にくっついてくるのです。

矯正治療はおよそ1ヶ月に1度の治療なので矯正力が歯にかからなくなると靭帯は容易に歯にくっつきます。

acceledentはこの歯周靭帯が歯にまとわりつかないように歯に振動を加え、歯が動きやすくするよう働きかける装置になります。

歯にacceledentを加えることで矯正治療を早く終わらせるだけでなく通常矯正治療を早く終わらせるために行う歯ぐきにメスを入れるような治療よりも痛くなく低侵襲であるというメリットがあります。

(SFOT)

Surgically Facilitated Orthodontic Therapy

上の二つの方法とは真逆になってしまいますが、これは矯正治療を外科的に行う治療法です。

矯正治療を行うと場合により歯並びは良くなっても歯茎のラインが改善できなかったり歯と歯の隙間が目立ったりします。いわゆるブラックトライアングルです。

これらの歯茎に関する治療はプラスチックサージェリーと呼ばれる歯茎の移植手術が必要になってくるのですが、このSFOTではあらかじめプラスチックサージェリーも含め矯正治療も短期間で終わらせる治療法です。

いかにもアメリカっぽい治療ですが痛いのは初日だけです。全身麻酔で治療すれば気が付いた時には治療は終わっています。

この治療により通常3年ほどかかる治療が半年で終了することも可能だそうです。

まとめ

アメリカの矯正治療最前線、少し知っていただけたでしょうか。

低侵襲で痛みを伴わずに行う治療、対してダイナミックに歯ぐきや骨を整形して行う治療法です。

共通して言えることは矯正期間を早く終わらせることですね。